海のたたら・山のたたらを訪ねて

平成30年11月9日に国指定史跡田儀櫻井家たたら製鉄遺跡を鳥取同窓会副会長夫妻にも参加頂いて訪ねました。

この催しは放送大学島根同窓会第4回中部地域会員・学生交流会として行いました。田儀櫻井家は江戸時代初期に仁多の可部屋櫻井家が現在の出雲市多伎町奥田儀に製鉄業を起こしたといわれています。

当日は多伎文化伝習館に集合して、田儀櫻井家たたら製鉄遺跡保存会の高橋会長さんを始め5名のボランティアガイドさんからガイダンス、その後に現地見学で、越堂たたら跡、宮本鍛冶山内遺跡をガイドさんの説明を受けながら見学しました。

特に宮本鍛冶山内遺跡は田儀櫻井家が経営したたたら製鉄の中心地ともいえる場所で、この遺跡は狭い峡谷内に、大鍛冶場跡など生産に関連する遺構、田儀櫻井家本宅跡、山内従事者の住居跡など生活に関連する遺構、智光院・金屋子神社・田儀櫻井家墓地・従事者墓地など信仰に関連する遺構が実にコンパクトに一体的に残されていました。

この遺跡は観光地化された場所と違い素朴で当時の様子を想像できる場所で有り、ガイドさんの親切なガイドもあいまって充実した見学でした。

ガイドさんとは宮本鍛冶山内遺跡で別れて、その後、昼食場所の道の駅キララ多伎に移動して食事会を開催しました。食事後にショツピングを楽しみ、田儀櫻井家が経営していた可能性が指摘されている、「朝日たたら」の見学に移動しました。

朝日たたらは地下構造が今までの調査例では見られなかった大規模なもので、排水、除湿、保温について大がかりな気配りがなされている点が特徴といわれている国指定史跡の遺跡です。出雲市文化財課から提供して頂いた資料を手に保存上屋の中で迫力ある遺構を個々に当時を思い見学しました。たたらの遺跡の見学はここまでで、朝日たたら遺跡の近くに7万年前頃の三瓶山の火山活動でできた言われる埋没林の展示施設を見学しました、見学者は交流会参加者だけでしたので、交流会を展示施設内で行いました。

参加者より充実した内容だった、まだまだ観光地化されていない旧跡があることを実感したなどの感想が寄せられました。今回の交流会を行うに当たり多伎文化伝習館、田儀櫻井家たたら製鉄遺跡保存会の皆様と、朝日たたらの資料と横見埋没林のリーフフレットを提供頂いた出雲市文化財課の皆様並びに詳細な資料を作成して頂いた会長を始め役員に方に厚くお礼申し上げて第4回中部地域会員・学生交流会の報告とします。(記・竹下 隆)